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てんかん認知症頭痛


てんかん
 てんかんは「種々の成因によってもたらされる慢性の脳障害で、大脳ニューロンの過剰な発射の結果起こる反復性発作(てんかん発作)を主徴とし、これに種々の臨床症状及び検査所見を伴うもの。」と定義されております。平易に表現するなら、様々な原因によって脳神経回路のショートが生ずる、また、これが慢性的に繰り返される、とも言う事が出来ます。

実はポピュラーなてんかん
 てんかん患者は人口あたり100人から200人に一人と推定されます。千葉市緑区の人口は約12万人ですので、600人から1200人のてんかん罹患者が居ると推定されます。

てんかんの症状
 てんかん発作は大きく、全般発作と部分発作に分類されます。てんかんは異常な脳の興奮とその広がりで症状が決まります。脳全体にてんかん発作の影響が出る全般発作では、意識を失ったり全身けいれんといった症状が出現します。てんかんの影響が脳の一部に留まると部分発作では、発作を生じた脳の範囲に依存した症状が出現します。これは、片側の手足のけいれん、意識の低下、言語や感覚の障害など様々です。
 複雑部分発作と言われる発作や非痙攣性てんかん重積状態と言われる発作では、反応が緩慢になったり応答が曖昧になるなどの症状を生じ、高齢者で認知症と誤解される事があります。

てんかんの治療
 てんかんの治療には薬物療法と外科手術があります。薬物療法は、単剤投与を原則に、発作消失を目標に薬物調整をします。薬剤の有効性はその患者様のてんかん発作のパターンによって異なります。コントロールが難しい場合、単剤投与が承認されていない場合は2種類以上の薬剤を投与します。
 近年、レベチラセタム、トピラマート、ラモトリギン、べランパネルなど、新規抗てんかん薬と呼ばれる薬品が登場したことで薬物療法は格段に進歩しております。
 てんかんの外科手術は、①薬物療法では制御できない、あるいは薬剤は副作用の問題などから使えない ②発作によって本人の健康や生命が著しく害される場合(例えば失神して倒れた結果怪我をする) に手術適応があるとされます。

社会的問題
 てんかん患者様は自動車運転免許取得に制限が加わったり、発作のため職を追われるなど、様々な社会的な不利を蒙る事が少なくありません。当院では自動車運転免許更新時、障害年金申請時などの各種書類を作成し、てんかん患者様の社会生活をサポートします。

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認知症
 認知症は一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を指します。福岡県の久山町研究では6.7%の有病率となっており、日本の高齢化が進むとともに一般的な病気になってきております。

認知症の種類
 認知症は大きく分けてアルツハイマー病や前頭側頭型認知症のような、脳組織が萎縮して物忘れに至る疾患と、脳梗塞など脳卒中が契機となって物忘れに至る脳血管性認知症の二つに分類されます。

認知症の症状
 認知症の症状は中核症状と周辺症状の二つに分類されます。中核症状は記憶障害、判断力の低下、失見当識、失行、失認、失語などがあげられます。周辺症状は、抑うつ、不潔行為、徘徊、幻覚、妄想、睡眠障害、介護への抵抗、などがあげられます。
 これらの症状は全て均一に出るわけではありません。そのため、認知症の発見が遅れたり、周囲の理解が得にくくなるなどの影響が見られる事があります。

認知症の診断
 認知症は認知機能検査など、診察によって診断します。頭部CTやMRIも施行しますが補助診断、あるいは他の疾患の除外のために行います。
 認知機能の低下は認知症以外の疾患でも低下します。慢性硬膜下血腫、水頭症、脳腫瘍などの頭蓋内疾患だけではなく、甲状腺機能低下症、高カルシウム血症、低血糖、副腎機能低下症などの内科的な疾患は時として認知症と勘違いされます。ですので採血も早期に施行します。

認知症の治療
 中核症状に対してはドネペジル、ガランタミンなどのアセチルコリン受容体拮抗薬を投与します。一方、周辺症状に対しては抑肝散、バルプロ酸といった気分を安定させる薬や、抗精神病薬を組み合わせて使います。
 抗認知症病薬は認知症の進行を遅らせる事が主であり、100%の症状改善は期待できません。また、周辺症状も投薬のみで完全にコントロールすることは困難です。ですので、患者様本人やご家族の状況を良く聞き、介護の導入や生活環境の改善などを行って症状があっても安心して暮らせる環境を整えます。これが、ひいては症状緩和につながると考えております。

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頭痛
 頭痛は日本人の3~4人に一人は罹患すると言われる普遍的な疾患である一方、診断の遅れが命にかかわる危険な頭痛も見逃せません。

頭痛の分類
 頭痛以外には大きな異常のない一次性頭痛、何らかの疾病の結果として頭痛を生じる二次性頭痛に大別されます。
一次性頭痛には偏頭痛、筋緊張型頭痛、群発頭痛、三叉神経痛、などが含まれます。二次性頭痛には、様々な原因が含まれ、くも膜下出血、脳内出血、脳腫瘍、脳梗塞など、専門的な治療が必要になる頭痛はこちらに分類されます。

頭痛の診断
 頭痛は夫々特徴的な病歴があります。ですので、まず詳細に病状を聞きますが、頭部CTやMRIなどの画像診断も重要になります。

頭痛の治療
 一次性頭痛の場合、単純に鎮痛薬を使うだけでなく、その頭痛に特異的に有効な薬剤を使用、あるいは他の薬剤を組み合わせたり、頭痛が起きにくい生活習慣を心掛けるなどの工夫が必要になります。
二次性頭痛の場合、見つかった疾患の種類/病状に応じ、当院で対応するか、最適な医療機関への紹介を行うか判断します。

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